日々こもごも
日常や呟き
第一話
ま、お試しって感じも強いんですが、完全に変更するまでに色々と試してみたいんで。
この下にあります。まださわりみたいなもので、短いです。
「月の誘(いざな)い」
ある日ふと、オレはそれに気が付いた。
てんとうむし君の荷台の片すみに置かれた古めかしいトランクケース。
何処かで見たことがあるような気もするものなのに、それが何処で見たものだとはっきりと思い出せない事がもどかしい。
オレが知らないうちに増えていたモノだから、蛮ちゃんのモノなのには違いない筈。
(こっそりと、中見ちゃえ)
蛮がパチンコに行っている今のうちだと思いつくと、こっそりとトランクを開けようとした‥‥ら、取っ手の両脇にしっかりと鍵が掛かっていて開けられそうになかった。
(う~ん、さすが蛮ちゃん。抜け目ないや‥‥)
けれど、滅多に私物を持たない彼の事だから、このトランクの中身はやっぱり気にはなる。
外側の古めかしい感じから、きっと彼の子供の頃からの物だと‥‥。
そこまで考えてやっと思い出せた。そうだ、マリーアさんが持っていたトランクだ。
(え? ってことは、中身って‥‥)
「何してるんだ? そんなとこで唸って」
「うわぁ! ば、蛮ちゃん。は、早かった、ね。ひょっとして、負けた?」
「縁起悪ィ事言う奴だな。顔見りゃわかんだろ?」
じっと見た先の蛮は、機嫌が良かった。
(‥‥って事は、ひょっとして‥)
「珍しく、勝ったの?」
「おう、ばっちり! 珍しくは余計だ!」
ぴらりと広げられた一万円札は10枚ほどもあった。
「これで、今日の夕食はリッチに行こうぜ」
「うん。食べ放題行こうよ! いっぱい食べられるもん」
ニコニコと笑顔つきでそう提案すれば、蛮も乗り気だった。
「ねえ、蛮ちゃん。あのトランクって、マリーアさんが持ってた奴と似てるね」
「ああ、アレか。俺はいらねぇって言ったんだけどな。この時期には要るだろうからって押し付けられた」
食事も終わって、蛮の機嫌のいい内に気になっていたあのトランクについて聞いてみた。
話したくない場合だと、すぐに不機嫌になっちゃうんだから、加減やタイミングは難しい。
「この時期?」
「ま、色々あんだよ」
「ふ~ん(これ以上は話したくないんだね)、そっかぁ」
折角、機嫌がいい蛮ちゃんを拗ねさせたくないから、今日はこの辺で諦める事にした。
でも、マリーアさんがらみって事はあのトランクの中身は、想像したとおりのモノであっているらしい。
あのトランクの中身は、魔女の正装だろうと思う。
あの服は、呪術師と闘う時の戦闘服でもあると、彼女は言っていた。
蛮ちゃんも、あの服で闘うのだろうか?
この時期って、今の季節とかに関係があるのかな?
魔女についてなんて、オレには全く知識がない。蛮ちゃんに教えてもらった事くらいしか。
でも、今日はこれ以上聞きだせそうにはない。また、別の時にでも聞いて見なきゃ。
オレは、そう心に誓った。
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み、見ましたo(^-^)o